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こち亀に学ぶ「経営の失敗」

こち亀に学ぶ「経営の失敗」


こちら葛飾区亀有公園前派出所 」のコミックスの82巻「おむすびころりん!の巻」

この話では、企業経営の失敗とも言えるスタディケースが簡潔に説明されています。

ある日、大量の米俵を入手した両津は思い付きで寂れた駄菓子屋を改装しておむすびのファーストフード店を開業する事を企みます。

好条件な立地と中川との親戚のコネで中川財閥からの支援を取り付けたことで早速ビジネスが軌道に乗り始めます。ところがこの両津のビジネス展開に業を煮やしたのが向かいのハンバーガーショップの店長でした。店長はその焦りからなんと・・・

ハンバーガーショップにおにぎりのメニューを導入して正面対決を挑んできました。対して両津は自身の豊富なアイデア力と中川財閥の資本の力を駆使してメニューや販路の拡大を速やかに実行して店長の店との差別化を行います。

対する店長の店は一枚上手を取られたことで客足が低迷。

「経営の多角化」と称して本業のハンバーガーショップという「コアコンピタンス 」を捨ててしまう決断を下す事になってしまいました。そこからの迷走ぶりは見るに堪えないものでした。

ハンバーガー・おにぎりからおでんに麺類と脱線していき・・・

もはや外食産業とは無関係な貴金属類にまで手を広げ・・・

脱線と迷走の限りを尽くして店長のハンバーガーショップは倒産するしかありませんでした。店長の迷走ぶりを傍に両津は自身の店舗展開を以下のように総括します。

  • 全ては「おにぎり」という「コアコンピタンス」とそれを求める固定客に拘った両津の作戦勝ちでした。

さて、この店長のハンバーガーショップが倒産した理由は「急激な経営多角化を追求してしまった事」に尽きるでしょう。

倒産までの流れを概略で解説するとこのようなフローチャートになります。

  1. 同業他社の勢いに危機感を感じる
  2. 差別化を図るべく急激な経営多角化を推進するが、結果的にコアコンピタンスとそれを目当てとした固定客を捨て去った事で客足が途絶える
  3. 多角化による新規投資の負債の嵩みとノウハウの欠如によって経営が迷走。
  4. 債務超過によって資金繰りが途絶えてお陀仏
 

  • 本業が黒字だった会社が急激な事業拡大や多角化へご執心のあまり、それまでの営業利益が大いに消し飛ぶというケースはこのハンバーガーショップに限らずありがちな事例です。

一方の両津が目指したのは商品内容とその販路の多様化であって、多角化そのものには手を出していないのは重要なポイントになってくると思います。

そこに加えてこの店長は対抗馬に作中では世界一の富を有した中川財閥の資本が入っている事を侮っていた事も失敗の原因の一つでしょう。恐らくこのハンバーガーショップは業態をコロコロと変えていった流れを見るにフランチャイズ店舗ではなく、飽くまで彼自身の個人経営の店だったと推測されます。真正面から消耗戦を仕掛けていくには、あまりにも資本的な体力に隔たりがあり過ぎましたね。

それ以外も、経営トップよりもその下で働く従業員のほうが自社のコアコンピタンスの重要性を理解していた・・・という描写も含めて単なる週刊連載の一エピソードでは収まりきらない示唆をこのエピソードは提供してくれています。

コマ引用:「こちら葛飾区亀有公園前派出所 82巻「おむすびころりん!の巻」|作:秋本治(集英社)


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