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至高のヒューマンドラマが楽しめる「コールドケース」

至高のヒューマンドラマが楽しめる「コールドケース」


2003年から7シーズンまで放映された海外ドラマの傑作、「コールドケース」をご存知だろうか。

フィラデルフィア市警殺人課の女性刑事リリー・ラッシュは、迷宮入りとなった未解決事件を担当している。ある時、彼女は警察を訪れたボニータという女性から、27年前に起きた殺人事件を目撃したと打ち明けられ、捜査を開始するが…。

というのが主なあらすじである。

迷宮入りして数年、あるいは数十年も経過した事件を再捜査するうちに、新たな真実が解き明かされて……

というと硬派な刑事ドラマを思い浮かべがちだが、「コールドケース」はヒューマンドラマ7:捜査3の比率に傾いている。

ぶっちゃけロジックやトリック重視の推理や捜査に見所がある訳ではない。

なにせ7シーズにも及ぶ話なので、大抵2・3人目に話を聞きに行く人が真犯人だとか(最初の人物が犯人の場合もある)ある程度パターン化されてくる。

が、面白い。

めっちゃ面白い。

思えば1年近く前、2020年の正月に「そういえば評判いいけどどんなもんだろ」Amazonプライムで一気見して寝食忘れる勢いでドハマり。

若くて可愛い女の子が難病にかかって死ぬような、あるいは小さい子供や動物がやたら理不尽で可哀想な目にあうような感動押し売り系の話が大っ嫌いなスレまくりの私が、一話完結40分弱の「コールドケース」で毎回滂沱。自分でもちょっと引く勢いで泣いてた。

というのもこのドラマ、私と同じ嗜好や傾向の視聴者にむっちゃ刺さるのだ。

どういうことか今から説明する。

このドラマにハマる人のはどんな人かというと

一話完結のドラマや小説ではレギュラー陣よりゲストキャラのエピソードに思いきり感情移入しがち

なんならレギュラー陣の惚れた腫れたすったもんだよりゲストキャラの波乱万丈ドラマに入れ込んで、主人公パートに切り替わると「いいから早く戻って!」とじれったがる

上記二点に該当するなら高確率で「コールドケース」にハマること請け合い。

海外ドラマは大抵一話完結様式である。

こちらは視聴率低下による打ち切り以外に原則終了しないので、シリーズはどんどん重ねていく。

「スーパーナチュラル」など、ファンに愛され二桁台に突入している長寿作も少なくない。

しかしレギュラー陣のキャラが立っている弊害として「一話完結ものでもレギュラー陣のプライベートなドラマが偏重され、ゲストのエピソードが蔑ろにされる」問題が挙げられる。

私にも経験がある。

具体的なタイトルは伏せるが、ある海外ドラマのエピソードに感動し、他の視聴者の反応が気になってネット掲示板を覗いたところ、その回のゲストの話はまるきりスルーで主人公とヒロインの色恋談義に終始してがっかりした。

もちろん長く付き合ってくレギュラー陣が魅力的なのはいいことだ。

私だって彼らには思い入れがあるし幸せになってもらいたい。

だが一話完結の形をとってその回ごとのゲスト中心に話を展開するなら、やはりそのゲストをいかに魅力的に描くか、ゲスト中心にいかに話を深く濃く膨らませられるかがシリーズの醍醐味じゃないか?

レギュラー陣の恋愛問題ばかり読者(視聴者)に取沙汰されて、主人公らが出会って別れ感銘を受けた筈のゲストの生き様がおざなりにされる風潮にどうにも乗り切れなかったのが本音だ。

コールドケースはそれがない。

本作の主人公はあくまでその時代を生きた、その時代に葬り去られた人々だ。

海外映画・ドラマレビューサイト「Filmarks」の投稿に、「面白いのだが基調となる物語がないのでそこまでのめりこめなかった」という意見がある。

言おうとしていることはよくわかる。

確かにそういう見方もできるが、ぶっちゃけ好みの問題に尽きる。

というのも、本作はレギュラー陣が前面にでしゃばらない。

彼らは彼らでそれぞれ複雑な背景を背負っており、家庭や職場での人間関係に悩んでいる。

象徴的なのが主人公の女刑事リリー・ラッシュ。

賢く勇敢でタフでハンサムな彼女は、アル中の母親にネグレクトされて育った悲惨な過去の持ち主。

話が進むと明らかになる過去はもっと過酷で、「男に縋るしかない酒浸りの母親のようにはなりたくない」と自己を律し続けてきたせいで恋愛に奥手で不器用、自己表現に難を抱えた彼女の不器用さや傷付きやすさはとても危なっかしく痛々しい。

仕事はデキるがそれ以外は上手くいかないリリー。

心を許せるのは家で飼ってる二匹の猫だけ。

この猫二匹は片目が潰れていたり脚が一本なかったりで、リリーの欠落や弱者への愛情を表す存在として描かれている。

残念ながらシーズンが嵩むと出番が減ってくのだが、特にシーズン1ではこの二匹とリリーが家で寛いでたり、ベッドで寄り添ってる描写が頻繁にでてくるので猫好きにもおすすめしたい。

レギュラー陣それぞれの家族も問題を抱えている。

ぶっちゃけてしまうと、彼ら自身や家族の殆どが何らかの事件や事故の被害者なのだ。

幼少時にジムのコーチに性的虐待を受けた兄やスーパーの駐車場で性的暴行された母、当時交際してた彼氏にレイプされた娘など、「クリミナルマインド」かよ!!って位犯罪被害者が多い。

このへんいくらでもエグく料理できるのに、あくまでバックボーンにとどめてサラッと流すのが「コールドケース」のいい所。

話は逸れるが、「クリミナルマインド」は毎シーズン高確率で捜査官の家族がシリアルキラーに逆恨みだのなんだので狙われたり襲われたり死人怪我人でるの、もうちょっとなんとかなんないだろうか。

一回こっきりじゃなくて何度も経験してるんだから、もう少しセキュリティ強化するとか対策打てないものだろうか。

あちらもあちらで楽しく視聴しているのだが、凶悪狡猾なシリアルキラーを日常的に相手どる捜査官の立場でありながら、最愛の家族へのフォローが杜撰すぎて気になる。

「コールドケース」の場合、捜査官の手落ちで家族がとばっちりをくうのではなく、捜査パートと並行するプライベートパートで過去の被害が掘り起こされるため、警察の無能ぶりにイライラするのは上手く避けられている。

こっちはこっちでシーズン6あたりからいくらなんでもこの展開無理ありすぎなんじゃ、という別の面での強引さが目に付くのだが(統合失調症の患者を取調室に1人にして自殺を招いたり)一話完結エピソードのクオリティは安定して高いし、ヒューマンドラマを重視して見るなら最後まで面白かった。

あとまあ個人的に思ったことは、海外の刑事ドラマにおける小児性愛者の人権のなさはヤバい。

「クリミナルマインド」も「コールドケース」もほぼ一貫して「子供をレイプしたり性的虐待するクズは死んで当然」「囮にして殺して当然」ってスタイルだ。

お前だよホレイショ(「CSIマイアミ」)

なんかホレイショまで突き抜けるとまあホレイショだしな……で納得しちゃうんだが、本気で反省して行いを改めた小児性愛者まで「知るか!前科あんなら同じだ!」って娑婆に出てから理不尽に差別されまくり、なんなら殺されたところで同情の余地なし扱いなのはモヤる(一応言っとくとホレイショはホレイショで好き)

ていうか誤解で犯人扱いして殺されても「仕方ないな(小児性愛者だし)」ですますな。

子供にひどいことするヤツ許せないってのは同感だけど、更正の予後すら認めないなら司法制度の意味ないし、法の番人たる刑事が罪を償ったのちの人権すら全否定してくスタイルはいいのだろうか……。

しかし刑務所でた所でこの人たちにめちゃくちゃにされた被害者の人生は壊れたまんまだとおもうと、簡単に答えは出せないし難しい……。

話を戻す。

「コールドケース」の基本的な流れだが、既に迷宮入りした事件が何かのきっかけで再捜査され、真相解明に至る。

おおかた殺人事件で真犯人に辿り着くのだが、なにぶん昔の事件(古いのだと70年前とか)ゆえに真犯人が死んでるケースもままある。

殺人のみに限らず、自殺だと思われていたら過失致死だったとか事故だったとかどんでん返しが起こり得る。

コールドケースと一口に言っても、なんでコールドケースになったかの経緯は様々だ。

当時の社会情勢や社会通念、人種差別や同性愛差別、各種LGBTやエイズ問題など、捜査する側の偏見故に迷宮入りしてしまった事件も多い。

これは証言者の側も同じ。

当時は周囲の目を気にして言えなかったが、何十年も経った現在だからこそ呪縛が解けて話せる事柄がある。

社会通念に代表される世間の圧力や心ない偏見、それらが証言者の口を閉ざしたせいで正しい捜査が行われず、事件の核心は闇に葬られた。

「コールドケース」は「どうやって」より「どうして」「なぜ」に比重を割くため、この「当時は言えなかったけど、(偏見が薄らいだ)今なら話せる」盲点の落とし込みが非常に説得力を持っている。

また、本作の特徴として挙げられるのが被害者の多くが善良な人々である点。

若く才能にあふれ、前途ある、心根は正しく優しいひとびとが様々な誤解やすれ違い、あるいは偏見や嫉妬から理不尽な死を迎える。

主に黒人差別を扱った話が多く、「チェス」などはなんともやりきれない余韻を残すのだが、ただ後味が悪いだけじゃ終わらないのがコールドケースの美点。

「コールドケース」には事件当時流行った歌が取り上げられる。

エンディングではそのメロディにのせて、事件当時と現在の関係者の姿がフィードバックし、被害者が捜査官、あるいは現在も自分を想ってる人の元に姿を見せる。

ラストに現れる被害者は亡霊なのか回想なのか、捜査官や関係者が見てる妄想なのか言及はない。視聴者の想像に委ねる形の憎い演出だ。

そしてこの懐かしいメロディにのせた被害者と関係者のひとときの邂逅こそ、「コールドケース」に暗く重苦しいだけじゃない、永い絶望を抜けた先に仄見える希望の余韻すら与えている。

ラストの被害者が浮かべる表情はさまざまで、何かを吹っ切ったような笑顔から思い出を噛み締めるような表情とそれぞれに違っている。

だが最初から最後までエピソードは見届けた視聴者には、長い歳月を経て真実が解き明かされた事で、忘れられた人々の尊厳が回復されたと信じられる。

過去は変わらない。

起きてしまった事は変えられない。

悲惨な事件や死の現実は変わらなくても、被害者の尊厳が回復された事で、彼らを未だ大切に思い続ける遺族や恋人、誰かの心にわずかばかり光がさしこむ。

それを安易に「救済」とは呼べまい。

理不尽に殺された人々が生き返らない以上、真犯人が捕まろうが真相が判明しようが、遺された人々が本当の意味で救われる事などありはしないのだから。

だが、無駄じゃない。決して。

「コールドケース」はまず冒頭に5分程度、被害者が幸福の絶頂だった頃、彼らが最も輝いていた時代の映像がはさまれるのだが、最後は必ず死亡シーンで締めくくられる。

冒頭とラストが劇的に呼応する事で、単なる被害者では終わらない、当時を懸命に生きて死んだ人の姿が立ち上がってくるのだ。

素晴らしい音楽が後味の悪さを中和してくれるおかげで、視聴後にはやりきれなさよりむしろしみじみ切ない余韻が染み入る。

さらにこのドラマの憎い点。

被害者が恋人や親子の場合、ラストに二人そろって出てくるケースがある。
彼らは死に別れたか、もしくは片方の死の真相究明や復讐が原因で命を落とした場合が殆どだ。

生前引き裂かれた親子や兄弟、あるいは恋人同士が、未だに彼らを思い続ける人々の前に再会を叶えた姿で現れては去っていく。

たとえそれが幻覚にすぎずとも、死者を見送った生者の心はほんの少し救われるのだ。

ビターな感傷と満足感のバランスが絶妙で、40分弱のドラマとは思えない充実した見ごたえ。

ここからはシーズンごとのお薦めエピソードを紹介したい。

ネタバレはなるべくしないでおくので、気になった話はぜひYouTube上でチェックしてほしい。

基本一話完結でどこからでも観れるのだが(私はタイトル・あらすじでぴんときたのを順不同で見てた)レギュラー陣のドラマ進行を時系列で楽しみたい方は最初からどうぞ。

一話175円で観れるぞ。

シーズン1

「蝶々」

2年前、母子が窓から転落し、娘が即死する事件が発生。一命を取り留めたものの、母親のロージーは、昏睡状態に。事件は未解決のままだったが、ロージーが意識を取り戻し…。

日本版「コールドケース」でもリメイクされた傑作。主人公の過去が絡む話。

貧困な母子家庭、虐待された過去持ちの母親……そこに愛はあったのか?あったのだ、どうしようもない形で。

作中の蝶々のモチーフが非常に美しく涙が出る。

この選択に行き着かざるえなかった母親の追い詰められた境遇と心情を思うと悲しくて痛くてやりきれない。母子を手助けしようとした善意の行動が裏目にでたのも辛い。

ボタンの掛け違いが生んだ悲劇。

ラストに出てくる蝶々の翅を生やした女の子の笑顔が無邪気すぎてまた泣く。

「手紙」

65年前に娼館で殺害された黒人女性セイディの孫サラ。彼女は、母の遺品の中からある手紙を見つけ、それを元に祖母の死の真相を突き止めて欲しいとやって来る。リリーは捜査をするうち、当時の娼館の娘・アーレッタから手紙について驚くべき真実を聞く。

セイディが最後まで気高いレディすぎて泣ける。

それに比べて男は……クズ……。

「コールドケース」の名言に「罪と臆病を取り違えた」というのがあるのだが、この男がやったことは臆病から生じた罪だ。

ロマンチックで微笑ましい手紙のやりとりと、ラストの落差が胸に迫る。

「プラン」

殺人課にある紙が届く。兵学校の便箋に「プラン」と書かれたその紙には、6つの計画と「1999年ナッシュ」と記されていた。その後の調査で、1999年に兵学校の教師ナッシュが溺死していたことが分かる。果たして、「プラン」とナッシュの死の関連は…!?

これも日本版コールドケースでリメイク済み。

少年への性的虐待を扱った話。重い。特に真犯人の最後の告白が……そうだよな、辛いよな……。

シーズン2

「ダニエラ」

ある女性が、夫が殺人を犯したと告白するため警察へやって来た。彼女は、古い8ミリフィルムに、その証拠が収められているという。捜査の結果、フィルムには若い男が女性に銃を向けている姿が映っており、撮影されたのは1979年と判明。やがて、リリーらは、79年のある未解決事件へ行き着く。

ダニエラが綺麗すぎて泣ける。結ばれなかった悲恋。

洗濯物が翻るコンクリートの屋上でダンスするシーンが綺麗すぎた。

「デビルズ・プール」

チェスナット・ヒルの森で、若い女性が殺された。ここは、1990年の未解決事件、チェスナット・カレッジのリタが殺された現場だった。死体にはマジックで×印が書かれるという共通点があり、同一犯の可能性が浮かんだ。やがて、容疑者として統合失調症のニールが浮上。事件は解決したかに見えたが…。

女子間のいじめが招いた悲劇。リタがいい子すぎる。

「リスト」

自傷癖のあるハワードは、幼い頃から父エリオットが酒に溺れて家族を捨てたと聞かされていた。ところが、実は父親が1953年に殺害されていたという真実を知り、再捜査を依頼してきた。そんな中、ニューヨークにいるはずのリリーの妹クリスティーナが、突然訪ねて来る。しかし、リリーの反応は…。

冒頭のエリオットが良き夫良き父良き教師すぎて身を滅ぼしていく経緯が辛い。

ラストで結び直された家族の絆に希望を見出す。

妻子を見守るエリオットの笑顔がいい……。

「ミスター・ウィルソン」

1993年に、知的障害を持つ少年コリンが列車に跳ねられて死亡し、事故死として処理される。しかし、最近になって彼の墓に、その死が他殺であることを示唆するような1枚のイラストが置かれるように。これを機に、再捜査を開始したリリーらは、コリンが置かれていた悲惨な環境を垣間見ることに…。

知的障害のある純粋で優しい少年はなぜ線路上で死んだのか。

哀しすぎる真相に涙が止まらなかった。

コリンは誰も恨んでないし憎んでさえなかったんだろうな……。

「お星さま」

スティルマンは、兄で神父のアンドリューから、バーニーという男が98年の誘拐事件で見張り役をしたことを懺悔していたと、知らされる。被害者となった9歳の少年カイルは、誘拐の数ヶ月後、水死体で発見されていた。再捜査を開始したリリーらは、誘拐の主犯を突き止めるが、更なる衝撃の事実が発覚した。

被害者(ペドの監禁犯)が1・2を争うクズ。もっと苦しんで死ね。

エンディングでかかる音楽が美しいだけにやるせない。

カイルも可哀想だけど、個人的には息子の方に同情してしまった。

「トラック」

川から1931年型のトラックが引き上げられ、若い女性の白骨死体が発見される。車の所有者だったカーティスが健在であることが分かり、彼の証言から白骨死体は32年に行方不明になった妹ローズではないかと考えられた。リリーらは、殺人課史上最も古い未解決事件に挑むことになった。

禁酒法時代、ナイトパブに出入りする男装の黒人とお嬢様育ちの白人女学生。二重に結ばれない恋愛、逃避行の先の悲劇。

水中から浮き上がるシーンの絶望感と、現在の年老いた姿で詩集を読む姿が重い。

シーズン3

「人形」

1954年、ケーキ作りを楽しむ母と子の関係が、母ベティが施設に入れられたことで崩れる。息子のオーティスは母と疎遠になり…。月日が流れ、老衰したベティの身元確認のため警察を訪れるオーティス。しかしその遺体はベティではなく、まったくの別人だった!

精神病院の話。ロボトミー手術。

冒頭の絵に描いたような仲良し親子のホームドラマからの炎上→転落が辛い。

ベティが仰向けて雪に埋もれていくシーンの静かな美しさが胸に迫った。そこまでして息子を愛し抜く母親の気持ちも。

「キックボード」

1999年、母ひとり息子5人で幸せな生活を送っていたバブリー家を悲劇が襲う。長男ヴォーンが殺されたのだ。その後、次々と兄弟の命が奪われ、なんとすべてが未解決事件に…。4人目の殺害現場にかけつけたリリーは、兄弟全員の死を解明するために動き出す!

冒頭の幸せ一杯、晩餐の団欒からどんどん息子が消えていくのが……

最後に明らかになる憎しみと報復の連鎖が辛かった。皆が皆お互いを想っていたからこそ起きてしまった悲劇。

ラストで少し救われる。

「ペンダント」

1965年、腕に大きなギブスをはめた少女が死体となって水に浮かんでいた。その後、何十年もの時を経て、白骨死体となった少女は川底から発見される…。骨折の跡から虐待の可能性があると判断したリリーたちは、居たたまれない気持ちで事件解決を誓う!

「コールドケース」はマジで全部見てほしいレベルの傑作ぞろいだけど、一話だけ!って言われたら「ホタル」と悩んだ末これを推す。

本当に……これは何か下手に説明しても無粋なのでとにかく見てほしい。

消えた彼女のその後の長すぎる余生と、新しい名前にこめた願いに号泣。

回想シーンのノスタルジックな海水浴と呼応する、冬の砂浜を歩くラストが美しすぎる。

関係ないけど日本版リメイクの医者(1:26)がドS喫煙眼鏡でめちゃくちゃタイプです。

 

シーズン4

「ホタル」

1975年、8歳の少女メラニーが森で行方不明に。実はその森は、メラニーと親友のシュリースがよく一緒にホタルを見ていた場所で、2人だけの内緒の遊び場だった。当時、肌の色が違う2人が親友であることに、周囲は好意的ではなく、トラブルが絶えなかったことがわかってくる。

肌の色がちがう少女たちが育むピュアな友情。「小さな恋のメロディ」みたいなノスタルジックな映像が美しすぎる。

二人だけが知る森の秘密の場所で寝転がってホタルを見るシーンから綺麗すぎて切なすぎて……。

ラストに希望がもたらされるのもよかった。

このエピソードに出てくる(撃たれたのは)臆病な時代に勇敢だったから」ってリリーの名言大好きです。

マジで「コールドケース」臆病な時代に勇敢だったばかりに死んだ人多すぎる。

「相棒」

1968年、骨のある男として後輩に慕われ、女性にも人気だった若手警察官クーパーが、ある日パトカーの中で射殺される。未解決だったが、約40年後、老囚人が突然、事件の情報提供を申し出る。彼によると、死んでいるクーパーの横にはヘロインの塊があったというのだが…。

腐女子見てほしい。

第一声がこれってある意味ネタバレなんですがうん……ホモセクシャルのエピソードをこの一声ではじめるのも後ろめたいんですが、本当見て。

めちゃ萌えるし切なくて哀しくて苦しい。

相棒/すれ違い/悲劇、そんなキーワードにぐっとくる人向け。

シーズン5

「鳩」

2002年、スラム街で14歳の黒人少年が銃殺される。事件は迷宮入りしていたが父親がリリーたちのもとを訪れたことから再捜査が始まる。被害者の少年は数字に強く、当時16歳の腹違いの兄はカード賭博で少年の能力を利用していた。さらに兄は、地元ギャングの懐を潤すため、少年に金庫破りの片棒をかつがせようとたくらんでいたことが判明する。

兄弟のすれ違いが切ない。現実を変えようとしたのにな……。

「泥の中でも星を見られる人はいる」ってセリフが大好きです。屋上から伝書鳩を手放すシーンは希望の象徴。

「ドレス」

1963年、普段、少年のような服装や振る舞いをしていた10代の少女がドレス姿で死んでいるのが発見される。当時は自殺として処理されたが、今になって目撃者が現れた。事件を目撃したという男の話を聞いたリリーたちは、他殺の疑いを強め、再捜査に乗り出す。そんな中、内務監査の調査を受けていたヴァレンズに処分が下る。

性同一性障害の話。

理解のない親や周囲との軋轢に苦しんだ末、孤独な少女が至った結末。

一人遺された彼の中で未だに美しく生き続けてるのがわかった時にため息しかでない。

「ピアノ」

2006年、ろう学校の男子生徒が自宅から忽然と姿を消した。その後、生徒が通っていた高校の倉庫から大量の出血を示す血液反応があり、その血は何者かによって拭き取られた跡があった。そして、この血液が男子生徒のものと一致したことから、リリーたちは男子生徒の遺体の場所と殺害した犯人を突き止めるべく再捜査に乗り出す。

盲学校の知られざる内部事情が覗けて興味深い。

目が見えない少年と目が見える少女、ピアノを通したイノセントなふれあいが招いたすれ違い。

少年の勇気ある決断が彼女への想いの深さを語っていてずしんときた。

「幻」

2005年、アパートが全焼し、中にいた男の子の乳児が焼死する事件が起こる。事件当時、薬物依存症だった母親は男の子を家に置いたまま外出していたため無事だった。ところが、事件から4年が経ち、母親が死んだはずの息子を公園で見かけたと主張したことから、リリーたちは真相を突き止めるべく再捜査に乗り出す。

子を諦めきれない母の心情がひしひし辛い。

ドラッグ依存の貧困母子家庭でも、最大限手をかけて生まれたての息子を愛していたのが伝わってくる。

シーズン6

「自由学校」

1964年、22歳の主婦ミリアムが車にはねられ、自宅近くで発見される。45年後、街を出たことがないミリアムの旅行カバンが、ミシシッピから郵送された形跡があるとして、捜査が再開される。当時のミシシッピでは公民権運動が盛んだったといい…

夫と家に縛られた女性が新しい生きがいを見付ける。

冒頭のセールスの伏線がクライマックスで生きてくるのが見事。

「ピンナップガール」

1953年、モデルとして人気のあったリタ・フリンが自宅で殺害される。リタは不幸な境遇だったが、編集長のモンティにスカウトされ、わずか数年で売れっ子に成長。雑誌の全国展開が決まった矢先の出来事で…。そんなリタの最期の写真が発見され、再捜査が始まる。

リタが本当に素敵な女性。

自分のやりたいことに正直に生きる姿は輝いてた。

シーズン7

「ディベート」

1999年、ディベート部に所属する高校生が大会で初めて負けた日に死亡する。伝説のディベーターと言われた高校生は貧しい家庭に育ちながらも名門高校に奨学生として誘われ、転校して3か月後に拳銃で自殺したと思われていた。ところが、他殺を示唆する新たな手がかりが見つかり、リリーたちは再捜査に乗り出す。

「私自身が私の証拠」

「自分を評価できるのは自分だけ」

本当にいい言葉。

「グラフィティ」

1983年、街の壁にグラフィティアートを描いていた少年がスプレー式塗料を吹きつけられて窒息死する。事件の再捜査に奔走するリリー、ヴァレンズ、ミラーだったが、プライベートではそれぞれが厄介な問題を抱えていた。ヴァレンズは母親が被害に遭った強盗事件の詳細を知って、がく然とし、ミラーは元夫から娘の共同親権の件で頭を悩ませる。

下水道のグラフィティを見た瞬間に泣いた。反則。

夜空に星がないなら星を描けばいい。

誰に見せる為でもない、ただ1人に手向けた絵が誰かを幸せにする。

アートか落書きかを決めるのは見た人の多さなんかじゃない、そこから汲み取れる物だと教えてくれる。

真犯人と被害者の一対一の本音の言い合いで、見事にすれ違っていたのが切ない。

「ウッドストック」

1969年、ウッドストックの音楽祭会場でベトナム帰還兵が殺害される。事件は迷宮入りしていたが、リリーはFBI捜査官ライアン・キャヴァノーから事件の再捜査を依頼され、結果しだいではFBIへの転身も可能だと言われる。一方、ヴェラを頼ってかつての恋人ミーガンがやってくる。彼女は自宅に泥棒が入りアクセサリーを盗まれていた。

画が美しすぎる……花畑と花飾りと手を繋ぐ恋人たち。

彼が最後にあそこへ戻ってきたという事がなによりの愛情の証明。

他にも好きなエピソード多すぎてきりがない(「教師」「チェス」「ベビーベッド」「遺書」「接着剤」etc)……

ベスト3を選ぶなら「ペンダント」「ホタル」「ミスター・ウィルソン」

この3本は本当頭痛くなる位泣いた……「ミスター・ウィルソン」は救いなさすぎて辛かったけど、でも後悔はしてない……。

ちなみに腐女子的にぐっときたのは「ドラッグクイーン」「写真」です(察して)

「ドラッグクイーン」はラスト付近で明かされる元恋人のひたむきさが、「写真」は魔性のゲイとしてもてはやされ、寝た男にエイズを伝染しまくった美青年の落ちぶれはてた姿がよかった。

ここに出た以外も基本ハズレないので、あらすじやタイトルで「これよさげ」と思ったらぜひ!

既に見た人は「これがよかったよー」と教えてください(アピール)

「コールドケース」好きな人が周囲にいなくて話ができないのがちょっと寂しいです!


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