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あの時の修学旅行の話をしよう③恫喝

あの時の修学旅行の話をしよう③恫喝


修学旅行三日目。午前が自由行動だ。

各班は事前に見学コースを提出している。
とはいえ、全部の生徒のコースを見るのは、引率教員の数が圧倒的に足りない。そこで、

なんとなく、生徒が行くようなところを教員も自由行動。

修学旅行では、食べるのも楽しみの一つ。
男子は「旨いラーメン」をチェックしていて、
女子は「美味しいスイーツ」をチェックしていて、
私は、スイーツの店に行った。

女子生徒たちが並んでいる。
「あ、せんせい~!」
「よっ!」
私も並ぶ。
そうしたら、男性教諭Sがやってきた。並ぶ。
私「あら、S先生、甘いものもイケるんですか?」
S「私は美味しいものは何でも好きです!」

女子は、楽しそうに話しながら待っている。
順番が来た生徒は、食べ終わったら交代し、
待ち行列はスムーズに進んでいたんだが、
そこに、観光客と見られる初老の夫婦がやってきた。

妻「あら!混んでいるわねぇ。」
夫「(舌打ちして)修学旅行生か!
教師がいるなら、高校生には遠慮させろ!
こっちは客だぞ!!

恫喝。

凍り付く空気。
すると、S教諭が、静かに、

S「修学旅行生もお客様です。
我々教員も、順番に並んでいます。

そう言われ、夫婦は帰った。

したら、前のグループと私とS教諭の席が空いた。

女生徒たちは、
「先生、ありがとう。」
「ありがとうございました。」
と、好きなスイーツを楽しんだ。
美味であった。

S教諭は、普段、生徒に対して厳しい。
が、そういう教員の方が、対生徒への理不尽からは守ってくれる。
そういうものだ。

そのS教諭が、それから二年後、
教育職員としては身を引き、学校現場を離れることとなるとは…
だが、それは別の話。


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完全在宅で小遣い稼ぎ!持病があるので外で働けません。在宅ワークを活用しています。特技は川柳・詩・切り絵・ライティング。アニメオタクなのでオタク川柳で過去に一位神を受賞しています。文章は調子のいいときなら一日一万字書けます。今はそういう無理はしていません。

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