子猫の里親になった話
子猫の里親になった話
私は猫を2匹飼っている。
元々はシェットランドシープドッグという種類の「レオン」という名前の犬がいたのだが、2年半前に病気で亡くなってしまった。
我が子のように可愛がっていたレオン。
亡くなった時はとてつもない悲しみに襲われ、その当時は「次の子を」という気持ちには到底なれなかった。
レオンが亡くなってもうすぐ2年になるという頃。
まだ心の奥底には暗いモヤモヤが残っていて、いつものように撮り溜めていた写真や動画を眺めて気持ちをなだめていた。
そんな時、ふとYouTubeに動画を投稿してみようかなという気持ちが芽生えてきたのだ。
動画制作なんてしたことないし、何もわからない。
とりあえず短い動画を繋げてBGMを入れればそれらしく見えるかな、という軽い気持ちですぐにYouTubeのアカウントを設定し、動画を作り始めた。
(ちなみに「レシロコchannel」というチャンネル名で、今ではしおんとロコンが引き継いで細々と運営しています(笑))
楽しみながら素人動画を投稿して数十本くらいになった頃。
自分の中に潜んでいた、暗いモヤモヤしたものが少しずつ晴れていることに気付いた。
そして同時に
「家族が増えてもいいかな」
という気持ちになってきたのだ。
ただそれでもレオンと同じ「犬」と一緒に暮らすという気持ちにはなれず、それまで全く興味のなかった「猫」と家族になってみたいなという思いが頭に浮かんだ。
ペットショップに行くという方法もあったけれど、保護猫の存在をなんとなく知っていた私は、早速「大阪、保護猫、里親」というキーワードで検索して探すことにしたのだ。
最初にヒットしたのが、保護猫活動をされているYさんの「ジモティ」のページ。
そこには生後2ヶ月くらいの黒猫が掲載されていた。
やはり最初に見た子には特別な感情が沸いてくる。
さっそく問い合わせをしてお見合いを設定してもらうことにした。
結果的にその時に掲載されていた黒猫の子猫が我が家にやってきた。
あとで聞いたことだけれど、生後間もない子猫の里親募集には、かなりの数の応募があるらしい。
今回のこの子も、掲載後2日しか経っていなかったが、すでに10件以上の申し込みがあったそうだ。
その中でなぜ私を選んでもらえたのかよくわからない。
ただ、思うことはタイミングがとても大切なんだなということだ。
要するにこの子と私は縁があったんだろうな。
そしてお見合いの1週間後、我が家にやってきた黒猫の子猫。
女の子だけれど「しおん」という名前をつけ、ウキウキしながら彼女との生活がスタートした。
ところが・・・猫と暮らすのは初めてだけど、犬と11年間暮らしてきたしなんとかなるだろう、と半ば軽く考えていた私は、強烈な洗礼を受けることになったのだ。
フードをなかなか食べてくれない。
紙や小物をテーブルに置きっぱなしにしているとすぐに手で転がしてあそんだり、ビリビリに裂いてしまう。
ご飯を作っているとキッチンに登ってきてしまう。
これらのことも困ってはいたけれど、ある程度は猫だから仕方ないかなと思うことができた。
一番困って悲しかったことは、すぐ噛みついてくるということ。
猫だから、自由気ままだということは理解しているつもりだったし、こちらが抱っこしたいと思ったときに、いつでもできるとは思ってはいなかった。
そんな風に理解していたとしても、時には抱っこして撫でたい気持ちが沸いてくる。
けれどしおんは不可能に近い。
触っただけで噛みついてくる。
近くに寄って来たから撫でると噛みついてくる。
寝てるからと思ってゆっくり撫でてても、すぐに目を覚まして噛みついてくる。
普通にソファに座っているだけなのに、突然寄ってきてガブっと噛みついて逃げて行く。
お腹を見せて寝転ぶなんて一切なく、お腹を触ろうものなら噛みついて逃げて行く。
私の両手・両手首は日ごと傷だらけになり、いつもかさぶただらけだった。
どうしてなの?
動画でよく見る子猫たちは、だらーんと寝転がっていたり抱っこしたまま眠っていたりするのに・・・
まぁ、慣れるまでしかたないのかな?そのうち慣れてくれるかなと淡い期待の中、何の進展もないまま1ヶ月が過ぎて行った。
しおんは私には懐いてくれないの?
この子は私じゃない飼い主の方が幸せかもしれない・・・と頭をよぎる事もあった。
でも、せっかく迎えたしおんを手放したくはない。
私は藁にもすがる思いで、しおんを譲ってくれたYさんに相談することにした。
しおんを手放したい訳ではなく、時々でもいいから噛まれずに抱っこできるようになりたい、仲良くなりたいんだという思いを精一杯の言葉でメールに綴ったのだ。
Yさんはすぐに折り返し電話をかけてきてくれて、親身に相談に乗ってくれた。
まず、子猫は歯が抜け変わる時期には歯が痒くて噛むことがあるということ。
そして、目の前に手をひらひらさせるようなことをしていると、人間の手は遊ぶものだと思ってしまってじゃれて噛むようになるということを教えてもらった。
そして、猫は普通3~4匹で生まれて育つので、お互いにじゃれ合って遊ぶことで、噛まれたら痛いということや、この程度なら大丈夫だということを学ぶので、できたら複数で一緒に育った方がいいと言われた。
Yさんの話はすぐに腑に落ちた。
これはしおんの為にも複数で飼育するしかない。
私はすぐに2匹目を迎える決心をしたのだ。
そしてやってきたのが茶白猫のロコン。
しおんより約1ヶ月早く産まれた男の子。
3きょうだいで育ったこともあってか、ロコンはとても穏やかな子だった。
この2匹の相性が悪ければ先住のしおんを優先することになり、ロコンを迎えることはできないので、一旦トライアルという形で一緒に暮らすことになった。
一緒に暮らし始めると、しおんとロコンはお互いに威嚇し合って攻撃モードに入り、バトルを繰り返す。
しおんの方が気が強いので、ロコンが寝ていてもわざとそばに行って「シャー」っと威嚇するというような状態が続いた。
毎日毎日、今日は仲良くなるかと祈るような日々。
1日がとても長く感じられた。
1週間くらい経ったある日のこと。
いつものようにキャットタワーに登り、ハンモックの取り合いのバトルが始まった。
「あぁ・・・また今日もダメか・・・」と思っていた矢先!
1つのハンモックに一緒に入ってお互いをグルーミングをし始めたのだ。
すぐに動画に収めてYさんに送り、嬉しくて泣きながら電話で様子を話した。
Yさんもとても喜んでくれて、「これで家族だね」と言ってもらえた。
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それからの2人。
じゃれ合ってバトルしていることも多いけれど、まるで兄妹のように仲良しになって、いつもくっついて寝ている。
そして、しおんの噛み癖は嘘のようになくなって、私が抱っこしたいタイミングで抱きかかえても一切噛むことはなくなった。
可愛くてしかたがない本当に大切なしおんとロコン。
性格が全然違うけれど、だからこそ楽しいし2匹とも私には必要なのだ。
今思うに、しおんが噛む子ではなかったとしたら2匹目は考えなかった。
そして、もしロコンを最初に迎えていたら、ロコンは噛む子ではなかったので2匹目は考えなかっただろう。
だから、今この2匹がうちにいてくれるのは本当に運命だなと思うのだ。
私は2匹の猫を飼っている。
本当に幸せだ。
YouTubeチャンネル「レシロコchannel」はこちらからどうぞ!
先住のレオンの元気なころや、現在のしおん&ロコンの日常を綴っています。
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