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昭和なスナックの日常1

昭和なスナックの日常1


小説風 本当にあったお話
ある夜のとあるスナックでの出来事。

そこは昭和な雰囲気のスナック。
レトロ感漂う店内。
お客が15、6人も入れば満席になる。
そんな店内に今夜もお客がやってきた。

カラン カラン
と、入り口の扉が開く。
ママ
「いらっしゃいませ」とママが元気よく声を掛ける。
お客A
「ママ、今日は一番乗りかい?」
そう言って入ってきたのは、常連のAさん。
ママとAさんは、いつものように最近の世界事情について話し出す。
そこへ、週一くらいでやってくる女性がひとりゆっくり扉を開いてやってきた。
お客B
「ママ、こんばんは」
ママ
「Bちゃん、こんばんは。今夜は早いのね」
そう言いながら、おしぼりを渡す。
そして段々とお客が入り始めて2時間くらいたった頃だった。
ちょっと一風変わったというのか、お店には似つかわしくないお客が入ってきた。

ママの顔が曇る。
二人連れだった。
ママの様子から、初めての客ではなさそうだ。
ボトルをキープして飲み始めた。
既にどこかで飲んできたのだろう。
酔っているようで、目付きがおかしい。
その客は、男性と女性のカップルだった。

女性は大人しい感じで静かに飲んでいたが、男性の方が席を移動し始めた。
その男性は、恰幅がよく坊主頭で、態度もよくない。横柄な態度をとっている。
その男性を客Cとする。

客Cは、知り合いでもない客Aのところに行き、ちょっかいを出し始めた。
客Cよりも年配の客Aに対して、横柄な物言いをしてカラミ出したが、反応が悪いので諦めたのか、その隣にすわっていた客Bにカラミ出した。
そして、おもむろにその客Bの女性に向かって言った言葉が衝撃的だった。

お客C
「おい、ねえちゃん、シャブやってんのか」
お客B
「えっ、なに、なにをいってるんですか、な、なんですか」
客Bは、そういうと恐怖で固まってしまった。
それを見た客Cは、なんだという顔をして、
客C
「なんだ、やってないのか、普通か」
そう言うと戻って行った。

客B
「ママ…」
客Bの目には涙が溢れていた。
それを見たママは、即座に客Cと一緒に来ていた彼女に帰るように促した。

客Bから聞いたその言葉をそっくり、客Cに言った。
「お客さんに失礼なことを言わないでください。あんたの方がよっぽどやってるように見えるわ、もうだいぶ酔っているようなので、お帰りください」と、言ってさっさとお勘定をしてお金を受け取ったら、出口へ促した。
彼女が一緒だったので、すんなり帰って行った。

ママに聞くと、一年に一回くらいの割合でやってくる客とのこと。
もうこれで当分こないだろうと話していた。
失礼なことを言われた客Bの女性は、恐怖とショックでしばらくはそのことが頭から離れなかった。

これからこのお店ならではなのか、ママだからなのか、はたまた、偶然なのか必然なのか、とにかく面白い人間模様をお伝えしていきます。
 
~今回はここまで~
   2022年5月25日水曜日
      ライター:唯李


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唯李(ゆり)と申します。
stand.fmでオリジナル小説を朗読しています。
小説はモノガタリードットコムでアップしているものです。

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