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脚本~恋人たちの涙のあとに~

脚本~恋人たちの涙のあとに~


第二章
『戻れないあの夏の恋』
 
~爽やかな曲調の曲が流れる~
 
ナレーション
『それから数年が過ぎ、涼太がプロポーズをするために、デートの場所に向かっているときのことだった。
いつもは通らない場所で、なんだか懐かしい歌声が聞こえてきた。』
 
~「◯◯◯◯◯(オリジナル曲)」という曲が流れる~
 
涼太
「あの声は…。」
~心臓がドキドキしている感じで~

~涼太のひとりごと~
『俺はいつの間にか、声のする方へ吸い寄せられていた。』
 
ナレーション
『涼太は、気が付くとギターを片手に優しくそれでいて心が熱くなるあの懐かしい歌声の女性の前に立っていた。立っていたというより、その女性に釘付けだった。』
 
~涼太のひとりごと~
『俺を見ていた、俺だけを見ていた、俺のことをまだ好きなはずだ。あの笑顔はそういう意味のはず。』
~根拠のない強がり~
 
~曲が終わる~
 
涼太
「えっ…。」
~ショックの音~
 
ナレーション
『曲が終わり、すぐに女性の隣に黒ずくめのスーツ姿の男性がやってきた。涼太はその場をあとにした。』
 
~不安な音~
 
~涼太のひとりごと~
『そうだよな。』
『そうだよな。』
『あの女性(こ)の隣には俺なんか無理だよな。』
~一瞬にして奈落の底へ落ちる感じ~
~音が入る~
 
ナレーション
『しばらくすると、涼太の後ろから足音が迫ってきていた。』
 
~足音、段々近づく~
 
『涼太が振り向くと、そこには笑顔の女性が立っていた。』
 
彩花
「涼太さん、お久しぶりです。」
 
涼太
「あや…じゃなかった、彩花さん、久しぶり…、昔より上手くなったな、歌…、ギターも…。」
 
俺は泣きそうになるのを必死で堪えた。
~最後は声がこもる~
 
彩花
「ありがとう。もうすぐメジャーデビューするの。応援してもらえる?」
 
~『◯◯◯◯◯(オリジナル曲)が流れる~
 
ナレーション
『彩花は、そういうと涼太に名刺を渡した。涼太も名刺を渡した。たったそれだけのことだった。涼太は、彼女が去った後もしばらくその場から動けなかった。』
 
涼太
「彼女は、もう俺の隣で歌っていた彼女ではないのだ。」
 
ナレーション
『涼太はつぶやいた。自分にいい聞かせるかのように。』
 
~曲が終わる~
 
ナレーション
『涼太は、ポケットの中の指輪のケースを握りしめ、真理への告白をどうしようかと迷い始めた。』
 
~涼太のひとりごと~
「今日じゃなくてもいいよな。」
『俺はまた過去と同様に過ちを繰り返すのだろうか。
俺はなんて情けない男なんだ。
俺は彩花を忘れられない。』
 
ナレーション
『彼女が歌っていた曲が頭から離れない涼太だった。』
 
涼太
「戻りたい。あの夏の日に。」
 
ナレーション
『涼太はそうつぶやいた。そして、涼太は、電話を掛けた。』
~電話の呼び出し音~
 
 
~未来を想像するような楽しい曲が流れる~
 
ナレーション
『黒ずくめのスーツの男性が女性に聞いている。』
 
男性
「さっきの男性は誰? もういいのかい?」
 
彩花
「はい、大丈夫です。高校のときの同級生です。もうすぐデビューするから、ひとりでも多くの人に応援してもらえるように彼にもお願いしてきました。」
 
ナレーション
『そう言って彼女は名刺をバッグにしまった。
それを見ていた男性は、笑いながら彼女に言った。』
 
男性
「もうすぐデビューだから、その気持ちで頑張ろうな。」
 
ナレーション
『彩花は、輝かしい未来を信じていた。
だが、デビューを目前にしたある日、事件は起きた。』

~曲が終わる~

ナレーション
『いつものように出かける支度をしている彩花に、予期せぬ悲しい知らせを伝える電話がかかってきた。』

彩花
「まさか、それって本当なの…。」
~彩花はその場に崩れ落ちた~

ナレーション
『彩花は電話の相手の言っていることが損じられなかった。ことばを失う彩花だった。涙が溢れ身体中の力が抜けていく彩花だった。』

~不穏な空気感~
~スマホが床に落ちた音~

ナレーション
『スマホから、声が聞こえる。彩花を心配して電話してきたのは、彩花の恋人健太郎だった。』

~電話が切れた音~
 
~つづく~

唯李😊⚜️
2022年8月6日土曜日
 

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唯李(ゆり)と申します。
stand.fmでオリジナル小説を朗読しています。
小説はモノガタリードットコムでアップしているものです。

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