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#64【葛飾北斎】諸国名橋奇覧「飛越の堺つりはし」

#64【葛飾北斎】諸国名橋奇覧「飛越の堺つりはし」


皆様こんにちは!
絵画インストラクター松本です。

葛飾北斎の「諸国名橋奇覧」
(しょこくめいきょうきらん)
は全11図。

11図


今回は「飛越の堺つりはし」の解説です!

「飛越の堺つりはし」


「飛越の堺つりはし」
(ひえつのさかいつりはし)

飛越の堺つりはし


橋というか、綱渡りですね!!
夫婦と思われる男女が描かれています。
女性の頭には柴(自生する雑草の総称)、
左手には風呂敷。
お昼ご飯が包まれているのでしょうか。

二人とも平然と歩いており、強者感が半端ないです!!
橋がたわんでみているほうはハラハラします。

飛越・・・飛騨と越中の国境(現在の岐阜県と富山県の間)
雁(がん)・・・カモ科の水鳥。雁行(がんこう)といって列をなして飛ぶ。

橋の向こうには鹿が2匹。
くつろいでいる姿が美しいですね。

いろいろ資料を探したのですが、
この橋は特定できませんでした。

現在のこっているのかも確認できなかったので、
江戸時代にあったのか定かではありません。
北斎の想像で描かれたのかもしれません。

想像したとしたら、
どのような気持ちで想像したのでしょうか。

推測ですが
深山の神秘的な空間での橋ということで、
あの世とこの世をつなぐ橋を描いたのでは、と思います。

二人の行く先はやや緩やかで鹿がくつろいでいるあの世、
二人の来し方は断崖絶壁のこの世。

日本では中世以降、
橋に「あの世とこの世の境界」という考えがあったようです。

その考えの下地があることから
この神秘的な橋を描いたのではないでしょうか。

私の想像に反して
本当にあった橋であったら
「江戸時代の人すごいなぁ」と
素直に感服します。(^^;)

現代人の私たちからすると
絶対に渡りたくない橋だと思います!
(渡りたいよ、という酔狂な人がいるかもしれませんがΣ(゚Д゚))

北斎の構図 対角線構図


画面の対角線に被写体を置く構図を
対角線構図といいます。

こちら側の岸壁、橋と人、対岸、
と対角線上に流れるような配置で
引き込まれますね!

対角線構図

読んでいただきありがとうございました。
それではまた次回!
(^^♪

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