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ギャンブルマダム Ⅳ

ギャンブルマダム Ⅳ




                Kの恋人


「私が風邪気味だって言えば彼が薬買ってきてくれたんだあ、優しいよね」
冬の寒い日、電話口でKは嬉しそうに私に話す。
そのあとも彼がいかに良い男であるか、の話題は終わらない。
自分はと言えば一度見た彼の印象があまり好きじゃないので
あまり真に受けることができず
「眉唾物だなあ」と内心思いながら
他人の恋路を邪魔する趣味もないのでお花畑のノロケ話をただ聴いていた。



まもなく事件が起こった。
Kから電話がきて、怪我をして病院に行ってきたというのだ。
わけを尋ねると、例の恋人から暴行を受けたらしい。
日中Kのアパートに彼を呼んで昼寝?をした際その都度
財布のお札が数千円減っていく。
折り目をつけて試したところ彼の仕業だと発覚して問い詰めたら
殴る蹴るの暴力を受けたと言うのだ。



私は驚かなかった。
寸借泥なんか平気でやりかねないDV男に見えたからである。



             Kのアルバイト



Kの顔の青あざや腕のヒビは回復していった。
警察に届けられる案件でないと主張し
DV男が常連のパチ屋からは足を洗って。
会社員のお嬢さんの手前恥ずかしかったのだろう。
ほどなく
Kは中華料理屋さんの仕事を見つけてきた。
レシピ通りに総菜を作る裏方だ。

そして、その中華料理屋さんもすぐに辞めてしまうのだ。

                 
                                (つづく)

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関西出身
東京女子大文理学部卒
ハウスマヌカン、派遣業、塾、コンパニオンなど様々な職歴
最近はバーのママをしていたが脳梗塞で倒れて閉業
現在リハビリ中
痴と知の融合、境界型の人間

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