ボイストレーナーへの道のり ⑩ 3つの収入源。
ボイストレーナーへの道のり ⑩ 3つの収入源。
ある日、ボクのトレーナーとしてのデビューを指導してくれたK先生が
「植村先生、ちょっと…。」
とコソコソと声をかけてきました。
そして、誰も聞いていない階段の踊り場に出てボクにこう言いました。
そして、誰も聞いていない階段の踊り場に出てボクにこう言いました。
「植村先生、そろそろ自宅でも教え始めた方がいいですよ。」
「私の生徒さんに今年卒業の子がいて、『いい先生がいるから紹介するね』と言ってあるので、ぜひ面倒見てあげて下さい。」
ボクはビックリしました。
何とか音楽学校のレッスンをこなせるようになってきたばかりのボクにとっては、自宅でレッスンをするなんて、全く頭の中にないことでした。
しかし、これはとても大切なことでした。
一つの音楽学校での収入だけでは、経済的に厳しかったり、安定しないからです。
実際にボクが音楽学校の新しい講師となったことで、稼働が減ったり、辞めた先生がいました。
ボクのせいで誰かが職を失ったということです。
仮に一つの仕事先で上手くいってたとしても、もっといい人が見つかったり、ギャラが安くてクオリティーがそこまで変わらない人(これがボクだったわけです)がいれば、すぐに仕事が奪われてしまいます。
複数の仕事先を見つけることもそうですが、自分がトレーナーとして、ボーカリストとして、他に変えることのできない存在になる必要がありました。
実際、僕の務めていた音楽学校は本当に素晴らしい先生方ばかりでしたが、学校の収入だけで生活している人は誰一人いませんでした。
他でも教えてたり、レコーディングやコンサートでの演奏をしたり、そもそもご本人がアーティストとして活動をされていたりしました。
ボクもブライダルシンガーという2本目の道を見つけたのですが、「自宅でレッスンを始めなさい」というアドバイスによって、さらにもう一つの収入源を得ることなりました。
しかし、音楽学校の生徒を自宅のレッスンを引き込むことは、本来、契約違反なのです。
なので、K先生は大っぴらには出来ず、コソコソと声をかけてくれたのです。
とは言え、音楽学校にフルで在籍するには、年間100万以上かかります。
卒業後の生徒さんが先生の自宅レッスンを希望されることは学校側としても暗黙の了解で、現実的には珍しいことではありませんでした。
ただあまり大っぴらにやってくれるなよ、というものと理解しています。
ただあまり大っぴらにやってくれるなよ、というものと理解しています。
K先生は東京の方なので、
・京都校の生徒の卒業後の面倒を自分が見ることは難しい。
・植村先生にトレーナーとしての経験的・経済的成長をさせてあげたい。
この二つの思いから、ボクに声をかけてくれたのだと思います。
トレーナーをスタートする時にも随分お世話になったのに、その後もずっとボクのことを見守ってくれていたんだなぁ、と本当に感謝しています。
最初は2時間3000円という破格の値段で自宅レッスンをスタートさせました。
まだまだ勉強中という意味での値段設定でした。
まだまだ勉強中という意味での値段設定でした。
一応、僕なりの基準で、音楽学校との契約は守りました。
自分の生徒に「家のレッスンにおいで」と勧誘したことは一度もありません。
卒業間近になってきた生徒さんで、自分から「先生は自宅で教えてないんですか?」と聞いてきた人にだけ、
「植村典生で検索したらホームページが出てくるから、それ見て興味あったら、問い合わせてみて。」
と伝えて、連絡の来た人だけレッスンをすることにしていました。
それでも何年も講師を続けるうちに卒業する生徒の数も増え、レッスンに来てくれる人も徐々に増えてゆきました。
また、ブライダルの仕事で出会ったボーカリストさんやミュージシャンの方から、生徒さんのご紹介だったり、ご本人がレッスンに来てくれたりして、自宅のレッスンも結構忙しくなってゆきました。
気付けば、
・音楽学校でのレッスン
・自宅でのレッスン
・ブライダル等事務所の仕事
の3本柱が出来上がっていました。
それぞれが15~20万円くらいあって、ブライダルの仕事が少なかったり、自宅の生徒さんが少なくなったり、と変動があってもリスクを軽減できる状態が出来ていました。
経済的にも、メンタル的にも、とても安定して、充実した日々を過ごしていました。
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