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#2 道

#2 道


リストラをされて、初めてレールにのっていません。

 

これまで、卒業なり退職なり育休をしても、私にはいつも、次に行く場所や戻る場所がありました。それを決めてから動くタイプで、レールの上にいて、次の駅が見えていたんです。

 

 

『海の上のピアニスト』という映画があります。時々思い出す映画の1つですが、最近は特に染みます。

船の上で育って、豪華客船のピアニストになった主人公。

 

地上に降りたことがありません。

 

一度、試しに降りようとして、やっぱり辞めた後、友人にその理由を説明したシーンがありました。(確か。)

 

In all that sprawling city there was everything except an end.  (途中略)There were thousands of them(streets)! And how do you do it down there? How do you choose just one? One woman, one house, one piece of land to call your own, one landscape to look at, one way to die...

 

私の乱暴な訳はこちら。

「町は無秩序に広がってる。全部があるようにみえても、「終わり」だけは無いんだ。 (途中略) 何千って道がある!そんな場所で、どうやって分かるのさ?どうやって、ただ1つを選ぶんだい?1人の女性、1つの家、自分の土地、見たい景色、死に方・・・」

 

その時私は20代。

「分かるーーーーーー!!!」と思ったことを思い出します。

彼のような才能は何も無いですが(無いからこそ・・・?)、そのセリフに共感したものでした。

どうやって選ぶの?

 

40過ぎてリストラされますと、多くの道がふさがっているように感じてしまいます。

この世界には何千という道があるんですけど。

私には通れない気がする。

 

この映画は、とても悲しい結末を迎えます。私はその結末が嫌で嫌で、この映画が好きなのに、好きって言うのも微妙になるくらいに嫌でした。結末を思うと思考が途絶えて、どう捉えたらいいのか分かりませんでした。

 

あの主人公に、今の自分に、何を言ってあげられるんだろう。

 

先が見えない恐怖を興奮に変える度胸は、どうやって育てるんだろう。

 

稀有なピアノの才能があった彼と私では、全く違うんですけどネ。

彼のように突き抜けた場所にいる人は、想いの強さも突き抜けているのだと思います。

適度が生むそれなりの結果や偶然の幸運が欲しいわけではない。

(私は全然それでOKなんですけど。笑。)

 

自分が生きたい道は見えていて、それが終わりを迎えたことを悟ったとき、他の何をも望めないという、才能ある海の上のピアニストの気持ちは、どんな言葉でも揺るがなかったのかもしれません。

 

 

私は・・・。

 

今できそうなことは、揺らぐことなのかな。

グラグラ、グラグラ。

船の上にいるように。

 

怖れずに、できることなら面白がって、いろんな道を見てみたいです。

 

『海の上のピアニスト』の予告はこちらです。


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最近リストラされた40代です。復活への記録になりますようにー。
どうにかお仕事をもらえて、しばらく投稿をお休みします。

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