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父とグリーンガム

父とグリーンガム


5月17日 午前5時30分過ぎ

 突然、1階の父のベッドから手摺をたたく音がする。

ただならぬ気配を感じ 飲みかけのコーヒーを置いて急いで下へ降りる。

父が 愛用のマジックハンドで手摺を叩いていた。

その顔は、白く見え 視線が定まっておらず 危険だと思った。

母は、洗濯機の所に居たようで全く気が付いていない。近所の妹にも電話する。

父は淡が詰まった状態で、みるみる顔色が変わっていく。

母を呼び 淡の吸引が始まる。でも、ネバついた淡は なかなか吸引出来ない。

その間も顔色は白くなっていく… 僕は声を抱える事しかできず ただ祈っていた。


【 妹現る・・・】

連絡を受け妹がやってきた。母と妹が命をつなごうとしている。妹は看護師をしている。

母は、父の介護を2年ほどやっている。

二人は 手際よく吸引を行っていく。二人が 大きく頼もしく思えた。

しばらくすると、父の顔色が赤くなって元に戻り始めた。

僕が見つけた時に、顔色が変わり 「もう駄目だ…」と思った命を二人は繋ぎとめた。

何も出来なかった僕に 父がグリーンガムを手渡してくれた。

気管切開している父は、声が出せないが雰囲気で分かった。

「お前、仕事は?…」って言う父に 

照れながら「仕事は ええねん!!」と返すのが精いっぱいだった。

今日は、総合病院で検診の日。介護タクシーに乗せ 僕は父を見送った。

父にもらったグリーンガム、なぜか今日はしょっぱい味がした。

ふと見上げた空は 妙に青かった…


Ps… 今朝の出来事をこころにしまって置けず ここに書きなぐった事をお許し下さい。
こうでもしないと こころ折れそうでした。
幸い父は元気です。自分なりに救急について学びたいと決意した出来事でした。

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