魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-09 ☸ リリスの手紙
魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-09 ☸ リリスの手紙
魔法外科医は癒やし系少年~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。
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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-09 ☸ リリスの手紙
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(あ、ここ、ダリアの部屋だ……そうだ、夜、ダリアと事を致してそのまま寝ちゃったんだった)
「ロビ様、おはようございます。まだ少し早いですよ」
「ダリア、おはよう。ごめん、なんか寝ちゃったみたい」
「昨夜もたくさん事を致してくださって、うれしかったです」
「前から不思議に思っているんだけど、ダリアとこうしていると何で落ち着くんだろう?」
「そうなのですか?それはとても光栄です」
「でも、自分の部屋に戻って着替えるね」
ロビは起き上がると、サンダルを履いて自分の部屋に戻って二度寝をした。
「ロビ様、おはようございます。もうすぐ朝食でございます」
「ああ、ダリア、おはよう」
「かなり汗をかいていらっしゃるので、お湯で湿らせた布をお持ちしました」
「あ、ありがとう……って、ダリア、いつもいつから僕の部屋にいるの?」
「秘密です、うふっ」
ダリアはいたずらっぽく笑った。
朝食後、ロビはハルカを部屋に呼び、いつものように大陸公用語を教え始めた。昼近く、部屋の窓から鳥の影が見えた。
(あれ?ダヴの声がする)
窓ガラスの透明度は低く、外が良く見えないのでロビは窓を開けた。
(プリンセスダヴだ。リリスのプリシアかな)
プリンセスダヴは、ロビの部屋までやってきた。
「ロビ様、白くてきれいな鳥です」
「うん、プリンセスダヴといって、ダブの中でも大きくて、羽に少し青みがあるのが特徴だよ」
「ロビ様の髪の色みたいです」
「あ、そうか、そうだね、僕の髪の色もそうだね」
(ハルカ、だいぶ話せるようになってきたな。頭いい)
「この子、リリスが飼っているんだよ」
(召喚契約のことは一応、黙っていこう)
「リリス、プリンセスダヴ、きれいです」
(あ、足に書簡筒が付いている。えーっと、何々?『特定の生徒と親しくしないよう注意されました。レザルトが研究棟の受付記録を確認して通告してくれました。しばらくは個人的な会話や研究室へ来るのは控えてください。追伸、レザルトがしつこくて困っています』、なるほど、あのおじさん、やってくれるね)
ロビは返事を書き始めた。
(うーん、『わかりました。そのうち何とかします。愛しのリリスへ』で、いいかな?)
ロビは書簡筒に手紙を入れると、プリンセスダヴを優しく掴み、窓の外に放った。
「手紙、運ぶのですか?」
「うん、ダヴはよく手紙を運ぶために飼われているよ。それから……」
<ちょっと難しいから念話にするね>
<はい>
<ダヴは今見た鳥よりも一回り小さくて、羽の色は白色。青みは無いよ>
<私の世界でも似たような鳥がいます。何を食べますか?>
<主に穀物とか小さな虫。群れで行動することが多いんだけど、そのリーダー役がプリンセスダヴなんだよ>
<どんな魔能力があるのですか?>
ロビは少し考えた。
<ダヴは昼夜関係なく目が見えて、方角を正確に把握して自分の巣に戻ることができるんだ。それからプリンセスダヴになると群れのダヴと離れていても何かわかるらしい>
<どういうことですか?>
<ダヴの群れから一体だけ捕まえると、それが他のダヴから見えないところであってもプリンセスダヴを先頭にして逃げてしまうんだ>
<すごいですね、念話みたいです>
<きっとそうだね。だからダヴはプリンセスダヴに従うと考えられている。生存率が上がるからね。ちなみに食べると美味しい>
<ロビ様、その話はいいです>
<ごめんごめん>
(さて、どうしたものかな……レザルトの実家は魔法内科医院だから、そこから調べていけば住んでいるところはわかる。後は女子生徒に手を出していた証拠があればいいんだけど。しょうがない、申し訳ないけど直接聞いてみるか)
「ハルカ、今夜、冒険者ギルドに行こう。魔石獣狩りをする」
「今夜ですか?」
「うん、僕に依頼の来る魔石獣は夜行性だから、深夜、狩りをして朝にはここに戻るんだ」
「すいません、言葉がわかりません」
<ごめんごめん、ハルカ、どんどん言葉を覚えるからついつい普通に喋っちゃって。僕に依頼の来る魔石獣は夜行性だから、深夜、狩りをして朝にはここに戻るんだ>
<そうですか。冒険者ギルドは夜中も開いているんですか?>
<それは大丈夫。冒険者試験は昼間のみだけど、受付はずっと開いているよ>
「じゃあ、昼食を食べに行こう」
ロビとハルカがダイニングに行くと、ちょうどダリアが昼食を取っているところで、ウグルスは厨房にいた。
「ダリア、今夜、ハルカと冒険者ギルドで依頼を受けてくる」
「またですか?明日の朝、帰宅ということですね。学院はどうされますか?」
「行くよ。だから昼寝する。ハルカも同じでお願い。出発は夕方」
「わかりました。馬は何体必要ですか?」
「二体で」
「わかりました」
「ウグルス、夕食、早めにお願いしていいかな」
ウグルスは厨房から顔を出した。
「かしこまりました。夜食はどうされますか?」
「夜食は冒険者ギルドで食べるから大丈夫」
「わかりました」
「うん、よろしくね。じゃあ、身体を拭いてちょっと眠るよ」
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ダリアが立ち上がった。
「それではお湯と着替えを用意します」
「ダリア、あたしもやります」
「じゃあ、桶を持ってきてちょうだい」
「はい」
(ハルカもすっかり召使いの仕事が板についてきたな。冒険者ギルドの報酬、どうしよう?ハルカのやる気の為にも取り分は多めにしようかな。先にウグルスとダリアにも相談しておいた方がいいかも)
浴室でダリアがロビの身体を拭きながら話し始めた。そばにはハルカが布を持って立っていた。
「ロビ様、その依頼は危険なのですか?」
「いや、七十キロぐらいの魔石獣を捕まえるだけだからそれほど危なくないよ。探す方が面倒なんだ」
「以前あった、魔石獣討伐とは違うんですね?あれはこの辺りでも話題になっていました」
「うん。ハルカが来る前まで毎週、受けていたやつ」
「安心しました」
「ハルカにも捕まえ方を教えて、今度はハルカ一人で依頼を受けてもらおうかなって思っている」
「それは名案ですね」
「報酬の一部はハルカにあげようと思うんだけどいいかな」
「ロビ様の一存で結構です」
「じゃあ、半分ずつにしようかな」
「ロビ様はそんなに少しでいいのですか?
「うん。でも、魔石回収もハルカに行ってもらおうと思っているから。ちょうどいい感じかな。ハルカ、それでいい?」
「すみません、わかりません。でも、ロビ様にお任せします」
「後で説明するね」
「はい」
ロビはハルカから布を受け取り身体を拭いた。
「じゃあ、僕、部屋に戻るから、ハルカも身体を拭いておいてね」
「はい」
「ロビ様、ハルカの身体は私が拭いてよろしいでしょうか?」
「ダリア、ハルカが来てから何となく変なんだけど」
「いえ、なんかこう、反応が初々しくてうれしいのです」
「ハルカが嫌がらない程度にね。じゃあ、ありがとう」
「はい、お休みなさいませ」
夕方、ウグルスの声で目が覚めた。ロビは冒険者服に着替え、ダイニングに向かった。ダイニングでは、既にハルカも冒険者服を着て、立って待っていた。
「食事は寝起きですので、軽めのものにしました。冒険者ギルドで何か食べてください」
「ありがとう、ハルカも座って。先に頂くね。あ、お祈りだけはしておこう」
しばし祈りの言葉を述べたロビは目を開いた。
「さあ、食べよう。『腹が減っては戦はできぬ』だからね」
「ロビ様、それは面白言い回しですね」
ウグルスが質問をした。
「ハルカの国のことわざなんだって」
「左様ですか。たくさん話をできるようになる日が楽しみです」
「そうだね」
軽い夕食を終えた後、ロビは工房から
<ロビ様、そのブラシのようなものも
<これ?ただのブラシだよ>
<何に使うんですか?>
<これで魔石獣を洗うの。そうすると魔石獣の価値が上がるんだ>
ロビは
<ロビ様、何か違う気がしますが二本背負うのってかっこいいです>
<ん、ありがとう。じゃあ、行こうか。あ、その前に僕の部屋に来て>
<はい>
ロビはハルカと自屋に入るとハルカを部屋の中央に立たせ、自分はドアの前に立った。
<『
ハルカの足元に魔法陣が現れ消えると同時に、ロビの目の前に現れた。
<あの、昨日もそうでしたが、どうして出かける前に
<ひとつはハルカが危険な状況になったときに逃がすため>
<そうなんですか?ありがとうございます。感動です>
ハルカはロビに抱き着いた。
<もうひとつは、忘れ物をした時に取りに行ってもらうため>
<あの、すごい落差なんですけど……>
ロビとハルカはリビングに戻り、マントを羽織った。
<馬は夜になると速く走れなくなるから、明るいうちに冒険者ギルドまで行くよ>
<はい、わかりました>
「ダリア、ウグルス、行ってくるね。あ、僕が冒険者ギルドに行っている間は部屋には入らないように。毎回ね」
「承知しました」
「行ってきます」
「ハルカもがんばってね」
(お、今日は珍しく、ククとココも見送りに来てる)
<行ってくるね>
ククとココは、かわいい声で鳴いた。
<ハルカ、来週、ハルカに一人で冒険者ギルドに行ってもらうつもりだから、道をよく覚えておいてね>
<一人ですか?ちょっと不安です。でもがんばります>
<うん、ハルカなら大丈夫>
「じゃあ、朝には戻るから」
ロビとハルカは馬を歩かせ始めた。
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