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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-16 ☸ メイアと濡れ衣

魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-16 ☸ メイアと濡れ衣


魔法外科医は癒やし系少年~あらすじ

魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。


<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>

(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)


※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。

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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-16 ☸ メイアと濡れ衣

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 今日は王立学院中等部魔学科で、魔法道具マジックアイテムを使った試験が行われている。エイナはメイアの結果に不満を持ち、異議を申し立てていた。

 

「エイナ、ボクは毎日、メイアの自主練習を見ていました。今の結果はメイアの実力に見合ったものです」

「カサリ、お前まで嘘をつくのか?」

「エイナ、カサリはオトイク王国三大貴族のひとつ、レヴェシデ家の娘だから」

 

 ロビはエイナの弱そうなところを突いた。少しではあるが、エイナとエイナの取り巻きの言葉の覇気が下がった。

 

「ティラーナ教授、私、本当に不正はしていません」

 

 メイアは他の生徒から疑いの目を向けられる中、涙目ではっきりと言った。こういう時は、平民は不利になる。

 

「ティラーナ教授」

「ロビ、発言を許可します」

 

「もし、メイアが不正な方法を使っていたとしたら、メイアはマナの吸収能力が追い付かず、まだ空風斬剣ウインドソード発動ラウンチできないはずです。しかし、メイアの実力が本物であれば矢じりのひとつぐらいは発動ラウンチできるはず。メイアに空風斬剣ウインドソードの使用許可を与えてください」

「なるほど、そうですね。メイア、やりますか?」

「はい、やります」

 

(メイア、がんばって)

 

 メイアは再び的の前に立つと、空風斬剣ウインドソードを水平に構え魔力を流し込み始めた。

 

「『風斬切波ウインドカッター』」

 

 矢じりはロビの予想通りひとつだけだったが、真ん中の的に命中した。しかし、メイアは空風斬剣ウインドソードを落とした。

 

(危ない)

 

 ロビはとっさにメイアの足もとにかがみ、倒れてきたメイアを抱きかかえた。

 

「これでメイアの潔白は証明されたと思いますがいかがですか?」

「そうですね、エイナ、謝りなさい」

「ロビ、まだ、お前が魔力供給していない証明はしていないぞ」

 

(面倒な奴だな)

 

「じゃあ、僕の魔力量が減っていないことを証明すればいいんだね?」

「ロビは前に空風斬剣ウインドソードを四本同時発動していたな。もっとすごいことをやったら認めてやる」

「ティラーナ教授、いいんですか?」

「いいですよ。とても興味があります」

 

(なんかティラーナ教授、うれしそう。いや、ここは指導者としてメイアを守るところでしょ)

 

「今日も保険はかけてありますか? 二本同時に全力で発動します」

「大丈夫です。思いっきりやってみてください」

 

 ロビは、メイアを床に座らせクトリに預けると、足元に落ちていたメイアが使った空風斬剣ウインドソードを拾い、既に試験の終わった生徒からさらにもう一本、空風斬剣ウインドソードを借りてきた。

 

「なんだ、二本同時に発動か?前よりしょぼいんだな。やっぱりお前、魔力供給をしたんだろう」

 

 ロビは黙って的の方に歩いていき、生徒達から距離を取った。そして振り返り、それぞれの手で空風斬剣ウインドソードを一本ずつ持ち、両手を広げて水平に構えた。刃は上を向いている。

 

「それでは行きます」

 

(メイアの名誉のために)

 

 一瞬、二本の空風斬剣ウインドソードが光り、刀身が消えた。空風斬剣ウインドソードの下には赤い光を放つ粘性のある液体が落ちていた。

 

「エイナ、今後の勉学の為にも、この赤く光る奴、調べてみてよ」

 

 エイナとエイナの取り巻き達はロビのそばに来て、液体に触ろうとした。

 

「なんだこれ、すごく熱くて触るどころか手を近づけることすらできないぞ」

「ああ、それ、空風斬剣ウインドソードが魔力に耐えられなくて融けてしまった金属。レプリカだからしょうがないね。記念に持って帰ったらいいよ」

「こんなもの、要るか」

 

 ロビはしゃがみ、エイナの耳元でいつもより低い声で話し始めた。

 

「持って帰れよ。あれだけの魔力が使えたんだ、水魔法で冷やすだけだろう。なんなら魔力供給してやろうか?身体が破裂するまで」

 

 ロビはティラーナ教授のそばまで戻ってきた。ロビは何か声をかけてもらえることを期待していたが、ティラーナ教授の表情は固まっていた。そして振り返りエイナに向かって大きな声で話し始めた。

 

「エイナ、君の試験結果は素晴らしかった。正直。驚いたよ。あれだけの魔力を使えたんだから、さぞかしマナの吸収能力も高くなったんだろうね。今なら、少なくとも空風斬剣ウインドソードで矢じりのひとつは発動ラウンチできるだろう。やってみてくれないかな」

「そんな必要はない。今は、メイアの不正の話をしているんだ」

「不正じゃなかったことは既に証明した。君もそれに合意している。ひとつぐらい僕の願いも聞いてくれていいんじゃないかな」

 

 エイナは何も答えなかった。

 

(何も言えないか。まあ、これでいいや)

 

「メイア、無理させてごめんね。体調は良くなった?ちょっとオドを削っちゃったかもしれない。ゆっくり休んで。本当は魔力供給してあげたいけど、ここでやると、またイチャモンつけられそうだから」

「大丈夫よ。もう少ししたら立てそう。ロビ、ありがとう。あと、あなたに抱きかかえてもらえて、とてもうれしかったわ」

 

 メイアはロビを抱きしめた。



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「ロビ、ちょっといいかしら」

 

 全員の試験が終わると、リリスがロビを呼んだ。

 

「じゃあ、今度はロビ、空風斬剣ウインドソードを融かさない程度に全力よ。今日は闘技練習場にも保険をかけてきました。小金貨七枚です。土山も助手に三倍にしてもらっています」

「試験、受けさせてもらえるんですか?あの、ティラーナ教授、提案があります」

「何でしょうか?」

「僕は空風斬剣ウインドソードのオリジナルを見たことがあって、空風斬剣ウインドソード全力の捨て身攻撃技があることを発見しました。風斬切波ウインドカッターのように詠唱して発動ラウンチする古代魔道具アーティファクトには、複数の魔法が仕込まれていることが多いんです。レプリカでうまくいくかわかりませんが、試してみていいですか?」

「それは論文のネタになる、ぜひ見たいわ!やってみてください」

 

 リリスはジト目を輝かせながら、ロビの周りをピョンピョン跳ね回るように期待感の表現をした。

 

「ところで、これは保険対象になるんですか?わざとですが」

「適当にごまかすから大丈夫よ」

「じゃあ、まず確認しますね」

 

 ロビは空風斬剣ウインドソードを手に取り、魔力を流し込み始めた。すると、刀身に描かれている魔法文様マジックパターンではなく、片刃の背、むねが輝き始めた。

 

「これは?」

 

 リリスが不思議そうにロビに聞いた。ロビは一旦魔力を流し込むのを止めた。

 

「よく見ると、ここに魔法文様マジックパターンが描かれています」

「本当ですね、今まで気が付きませんでした」

「恐らく、誰も使い方を知らないのかと。でも魔法文様マジックパターンは正確に描かれているようなので、ちゃんと発動ラウンチできそうです」

「どんな能力があるのですか?」

空風斬剣ウインドソードが矢のように飛んでいき、的に当たると溜め込んだ魔力を放出、つまり爆発します。空風斬剣ウインドソードは魔力で粉々になって爆発と共に飛び散り、物理攻撃しか効かない物も破壊することができます」

「それはすごいわ」

「危険なので真ん中の的、ひとつだけにします。真ん中の的を強化してください。五倍ほど。そうしないと、突き抜けてしまいます。あと、皆さん、闘技訓練場から降りて見学してください」

 

 助手たちは、リリスの指示を待たずに的を土魔法で強化し始めた。その表情から期待感に溢れていることが手に取るようにわかる。

 

「では、いきます」

 

 ロビは空風斬剣ウインドソードの剣先をまっすぐ中央の的に定めた。最初は右手だけで狙いを定めていたが、身体の向きを変え、空風斬剣ウインドソードに左腕を添えて狙いを定めた。

 

「『飛翔剣撃ソードグレネイド』」

 

 空風斬剣ウインドソードが中央の的に当たり、爆発音とともに光が広がった。視界が戻ると、中央の的があった辺りを中心に、闘技練習場の屋根との床、地面、土山が丸く削り取られていた。

 

「すごいわ!私もやってみます」

「嫌な予感しかしませんが」

「大丈夫です、今日は剣、一本だけですから。それでは、左端の的を強化してください」

 

 先ほどと同じように助手たちが的を土魔法で強化し始めた。

 

空風斬剣ウインドソードは剣中央に重心があるので、さっき僕がやったように、左手を下に添えてださい」

「お兄様、ボクもそんな風にいっぱい触られたいです」

「カサリ、真面目にやっているからちょっと待ってて。後で抱っこしてあげるから」

「本当ですか?待ってます」

「ティラーナ教授、空風斬剣ウインドソードむねだけに集中して魔力を流し込んでください」

「こんな感じですか?」

「はい、そして、空風斬剣ウインドソードの中に魔力を込めて下さい。あの、ちょっと込めすぎかも」

 

「大丈夫です。それでは行きます。『飛翔剣撃ソードグレネイド』」

 

 空風斬剣ウインドソードは的を突き抜け、土山も突き抜け、遠くの見学席で大爆発を起こした。

 

 見事な発動に、生徒、助手一同、盛大な拍手をした。

 

空風斬剣ウインドソードにこんな能力があったなんて、すごいわ」

「ティラーナ教授、さすがです。すごい魔力量です」

 

 リリスは満足げな表情をしつつ、破壊された見学席を見ながら口元をひくひくさせていた。

 

「ありがとう。でも、ね、見学席は保険対象外なの」

「なんか、あの、すいません」

「大丈夫、空風斬剣ウインドソードで論文を書けば、きっと取り戻せるから。きっと。きっと、半分ぐらいは……」

 

(向こうの倉庫も壊れていることは黙っておこう)

 

 ロビはメイアの視線を感じつつ、カサリを片腕で抱っこしながら冷静に被害状況を確認していた。

 

 

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理系Hラノベ作家みならい。主にアニメ実況感想レビュー。ネタバレしない程度にレビュー記事を書いています。記事を読んでからアニメを観てい頂ければ感動?をシェアできること間違いなし!
申し遅れましたが名前は綿串天兵(WATAKUSi SOLABe:ワタクシソラベ)です。

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