#12【葛飾北斎】富嶽三十六景「御厩川岸両國橋夕陽見」
#12【葛飾北斎】富嶽三十六景「御厩川岸両國橋夕陽見」
絵画インストラクターの松本です。
夕日は毎日みても美しいですね。
絶景スポットでなくても、
どんな場所でみても心にしみます。
今回は夕暮れの富士山、
富嶽三十六景12枚目の解説です!
葛飾北斎ってどんな画家?
- 江戸本所割下水にうまれる(1760-1849)
- 浮世絵(木版画)の風景画というジャンルを築く
- 画狂老人と呼ぶほど絵に人生を捧げる
- 引っ越し93回!
- 金銭管理が下手で画料はほぼ借金返済に
- 全46枚!
- 当初は36枚の予定が人気が出たため10枚追加された
- 富士山を色々な場所から描く
- 鮮やかな青「ベロ藍」プルシアンブルーの使用
- 西欧諸国でジャポニスム(日本趣味)の要因となる
富嶽三十六景「御厩川岸両國橋夕陽見」おんまやがしより りょうごくばしゆうひみ
隅田川の夕日。
薄い朱色が刻々と変わる空の色を
表現しています。
隅田川には多くの渡し舟があり、
「隅田川の渡し」と総称されていました。
そのひとつ、御厩河岸の渡し場の光景です。
渡し舟からみた両国橋と富士山と夕日。
シルエットが魅力的ですね!
富士山
青が綺麗です。
両国橋
逆光でこちらもシルエット。
隅田川に浮かぶ多くの渡し舟も見えます。
渡し舟の船頭
安全運転でお願いします。
帰路につく客
手前の方は手ぬぐいを濡らしてます。
波
藍の線で表現。
おおきなうねりが動的で引き込まれます。
夕方の通勤電車で夕日をながめる方はほぼいません。
それと同じように、船で帰路につく人々も
美しい夕日に気付いていないかのようです。
絵の鑑賞者は時をとめて
じっくりと夕日を堪能することができます。
御厩川岸は現在の厩橋が架かるあたり
厩橋(うまやばし)
東京都台東区蔵前2丁目(西岸)
~墨田区本所1丁目(東岸)。
隅田川にかかる橋です。
橋名は御厩河岸にちなみます。
厩橋の歴史
1690年(江戸時代)渡し舟「御厩の渡し」
渡し舟8艘の記録が残る
1874年(明治7)木橋が架けられる
1893年 鉄橋に架け替えられる
1923年 関東大震災で被災
1929年 現在のアーチ橋が架けられる
厩橋が架けられる前は
北斎の絵にあるように
渡し舟が活躍したのですね。
両国橋の歴史
両国橋(りょうこくばし)
東京都中央区東日本橋2丁目(西岸)
~墨田区両国1丁目(東岸)
両国橋の歴史
1659年 創架(1661年説もあり)
当時は大橋と呼ばれる
武蔵国と下総国にまたがっていたため両国橋とも呼ばれる
1693年 「新大橋」架橋
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この間、破損により何度も架け替えが行われる
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1875年 最後の木橋が架けられる
1901年 鉄橋が架けられる
1932年 現在の橋が架けられる
現在の写真と北斎の絵が
たまたま同じ夕暮れ時です。
今はビル群があり富士山は見えませんが、
同じ両国橋が架かっていると思うと
歴史を感じ感慨深いです。
今回の解説で
隅田川にかかる橋を
二つも覚えてしまいましたよ!
(^^♪
両国橋と船の弧を魅力的にみせる 北斎の構図
絵を単純な図形にしてみると
面白いことが発見できます。
渡し舟をA、
両国橋をB、とします。
Aを180°回転させるとBになります。
点対称な図形です。
北斎の遊びだと思うのですが、
対称の中心が
船頭さんの頭という・・・。
Σ(゚Д゚)
画面に弧の大きな流れがあるので
魅力的に引き込まれる絵になっているのですね。
私が絵の構図を考えるときは
使うのは直線と丸ぐらいです。
北斎は三角形、点対称な図形、渦など
引き出しが多く勉強になります。
師匠の手元を凝視するような想いで
想像し学んでおります。
(^^)v
以上「御厩川岸両國橋夕陽見」でした。
次回「富嶽三十六景 隅田川関屋里」(すみだがわ せきやのさと)の解説です。
お楽しみに!!
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図法の解説に「おおっ」と引き込まれました。点対称!しかも船頭さんの頭(笑)北斎の絵は、本当に遊び心が満載ですね!読ませていただき、ありがとうございました!
50(^^ゞ私も船頭さんのところで笑いがこみ上げました。ちょんまげの時代ですが、この船頭さんの髪型がまたコミカルに見えるんですよね。
47今回は図法の解説が分かりやすかったみたいでホッとしています。(笑)
おち様よりコメントいただきました!
26この絵に太陽は描かれていないのに、空の色やシルエットから、夕日であることに想像を巡らせるエピソードは素敵ですね。橋の歴史や、渡し舟が活躍した背景など、普段の生活では思い至らない発想に興味深く、読ませていただきました。
点対称な絵の構図は、すごく面白い視点だと感じました。言われないと気が付きませんが、確かにすごくバランスが摂れており絵師の遊び心にセンスを感じますね。
おち様、コメントありがとうございます!
28(^^)v
橋の歴史を興味深いと言っていただけて、調べたかいがありました!!江戸時代に創架された両国橋が、架け替えながら現在も存在していることがすごいなぁと思います。全長164.5メートルと大きな橋です。(^^♪
絵を細かくみていると、北斎の遊び心に気付いてクスッとさせらます。今回の構図の説明を「面白い視点」といっていただけて、「伝わった~」とホッとしました。
(^^♪私も自分で絵を描くのですが、遊び心もセンスも、とっても勉強させていただいてます。背中がはるか遠すぎて見えませんが・・・!!
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