#21【葛飾北斎】富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」
#21【葛飾北斎】富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」
皆様こんにちは!
絵画インストラクターの松本です。
今回は待ちに待った・・・・
富嶽三十六景の代表、
「神奈川沖浪裏」!!!
あまりにも有名な一枚なので緊張します。
それでは張り切っての解説です!!
葛飾北斎ってどんな画家?
大迫力の一枚!!
波しぶきが降りかかります!!
6歳の娘がこの絵を見て
「生きてるみたい!」と感動していました。
波しぶきの形は竜の爪のよう。
娘が描かれた人達を「赤ちゃんみたい!」と
笑っていたのですが、確かにくすっとさせられますね。
大きな自然の前では人間は赤ちゃんみたいなものなのでしょう。
富士山
現在の千葉県木更津市から
東京湾を隔ててみた富士山。
押送り舟
(おしおくりぶね、おしょくりぶね)
鮮魚や野菜を運んだ舟。
富士山の「静」と
波の「動」が対比になっているのが
魅力的です。
「グレイト・ウェーブ」「ビッグ・ウェーブ」と
呼ばれ親しまれています。
北斎に影響を受けた画家に
・ゴッホ
・モネ
・ドガ
があげられます。
ゴッホの「星月夜」の空と、
神奈川沖浪裏の波のうねりが
なんだか似ていますね!
フィンセント・ファン・ゴッホ
「星月夜」1889年
また北斎に影響を受けた音楽家にドビュッシーがおり、
神奈川沖浪裏に着想を得た「海」という作品を発表しています。
アメリカの雑誌「ライフ」では
「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人(1999年)」
にて北斎が日本人で唯一選ばれており
日本人としてとても誇らしいです!
海外の方が日本の版画といえば
この絵を思い浮べるでしょう。
海外の方からみても
とてもインパクトのある絵なんですね。
(^^♪
まず、大きく三角形の相似が
3つ見て取れます。
大波、手前の波、富士山。三角形ですね!
波が富士山よりも大きい三角形なので、
富士山との遠近がより強調されています。
次に「黄金比」です。
人が美しいと思う比率を「黄金比」といい
1: 1+√5 /2 という数式であらわします。
少数に直すと比率が永遠に続くのですが、
省略して1:1.618であらわします。
こちらが1:1.618の長方形。
名刺やカード類はこの比率に近く、
歴史的建造物では
パルテノン神殿に黄金比が使われています。
この長方形の中に正方形を作ります。
残りの部分はまた黄金比の長方形になります。
新しくできた長方形のなかにもう一つ
正方形を作ります。
神奈川沖浪裏を重ねると・・・。
富士山の頂上に黄金比の線を引っかけて重ねると、
大波が正方形の中におさまります。
また黄金比の右側に正方形を作ると
大波の頂点が正方形の線のところになっています。
この正方形の対角線と
左側の正方形の重なったところを
中心に円を描くと
波の空いている部分になります。
北斎はコンパスを使っていたといわれているので、
構図を考える時に円を意識して
空間を作ったのではないでしょうか。
黄金比や円に絵の要素を引っかけることで
魅力的で惹きこまれる絵になっているんですね!!
(^^♪
また黄金比で作成された螺旋(黄金螺旋)が
随所にみられます。
構図3つ目のポイントは
波がフラクタルになっていることです。
小さな部分が繰り返され、
さらに全体と部分が相似形になっています。
自然界では海岸線や雲の形、雪の結晶にみられます。
部分と全体が似ていることで、
絵にリズムが生まれて心地よさや面白さを感じます!
(^^♪
繰り返しのリズム
全体と部分
ヽ(^o^)丿
時代も国境も超える北斎は本当にかっこいいです!!
大胆な構図や破天荒な人生に騙されますが、
しっかり理系なんですね。
鋭い観察眼で自然のパターンをつかみ、
さらに独自の表現へ昇華させているところに
すごみを感じます。
以上「神奈川沖浪裏」でした。
次回「富嶽三十六景 武州玉川」(ぶしゅうたまがわ)の解説です。
お楽しみに!
絵画インストラクターの松本です。
今回は待ちに待った・・・・
富嶽三十六景の代表、
「神奈川沖浪裏」!!!
あまりにも有名な一枚なので緊張します。
それでは張り切っての解説です!!
葛飾北斎ってどんな画家?
- 江戸本所割下水にうまれる(1760-1849)
- 浮世絵(木版画)の風景画というジャンルを築く
- 画狂老人と呼ぶほど絵に人生を捧げる
- 引っ越し93回!
- 金銭管理が下手で画料はほぼ借金返済に
- 全46枚!
- 当初は36枚の予定が人気が出たため10枚追加された
- 富士山を色々な場所から描く
- 鮮やかな青「ベロ藍」プルシアンブルーの使用
- 西欧諸国でジャポニスム(日本趣味)の要因となる
富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」かながわおきなみうら
大迫力の一枚!!
波しぶきが降りかかります!!
6歳の娘がこの絵を見て
「生きてるみたい!」と感動していました。
波しぶきの形は竜の爪のよう。
娘が描かれた人達を「赤ちゃんみたい!」と
笑っていたのですが、確かにくすっとさせられますね。
大きな自然の前では人間は赤ちゃんみたいなものなのでしょう。
富士山
現在の千葉県木更津市から
東京湾を隔ててみた富士山。
押送り舟
(おしおくりぶね、おしょくりぶね)
鮮魚や野菜を運んだ舟。
富士山の「静」と
波の「動」が対比になっているのが
魅力的です。
海外では「The Great Wave」として浮世絵の代表
神奈川沖浪裏は海外で「グレイト・ウェーブ」「ビッグ・ウェーブ」と
呼ばれ親しまれています。
北斎に影響を受けた画家に
・ゴッホ
・モネ
・ドガ
があげられます。
ゴッホの「星月夜」の空と、
神奈川沖浪裏の波のうねりが
なんだか似ていますね!
フィンセント・ファン・ゴッホ
「星月夜」1889年
また北斎に影響を受けた音楽家にドビュッシーがおり、
神奈川沖浪裏に着想を得た「海」という作品を発表しています。
アメリカの雑誌「ライフ」では
「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人(1999年)」
にて北斎が日本人で唯一選ばれており
日本人としてとても誇らしいです!
海外の方が日本の版画といえば
この絵を思い浮べるでしょう。
海外の方からみても
とてもインパクトのある絵なんですね。
(^^♪
北斎の構図「三角形の相似」「黄金比」「フラクタル」
それでは北斎の構図をみていきましょう。まず、大きく三角形の相似が
3つ見て取れます。
大波、手前の波、富士山。三角形ですね!
波が富士山よりも大きい三角形なので、
富士山との遠近がより強調されています。
次に「黄金比」です。
人が美しいと思う比率を「黄金比」といい
1: 1+√5 /2 という数式であらわします。
少数に直すと比率が永遠に続くのですが、
省略して1:1.618であらわします。
こちらが1:1.618の長方形。
名刺やカード類はこの比率に近く、
歴史的建造物では
パルテノン神殿に黄金比が使われています。
この長方形の中に正方形を作ります。
残りの部分はまた黄金比の長方形になります。
新しくできた長方形のなかにもう一つ
正方形を作ります。
神奈川沖浪裏を重ねると・・・。
富士山の頂上に黄金比の線を引っかけて重ねると、
大波が正方形の中におさまります。
また黄金比の右側に正方形を作ると
大波の頂点が正方形の線のところになっています。
この正方形の対角線と
左側の正方形の重なったところを
中心に円を描くと
波の空いている部分になります。
北斎はコンパスを使っていたといわれているので、
構図を考える時に円を意識して
空間を作ったのではないでしょうか。
黄金比や円に絵の要素を引っかけることで
魅力的で惹きこまれる絵になっているんですね!!
(^^♪
また黄金比で作成された螺旋(黄金螺旋)が
随所にみられます。
構図3つ目のポイントは
波がフラクタルになっていることです。
小さな部分が繰り返され、
さらに全体と部分が相似形になっています。
自然界では海岸線や雲の形、雪の結晶にみられます。
部分と全体が似ていることで、
絵にリズムが生まれて心地よさや面白さを感じます!
(^^♪
繰り返しのリズム
全体と部分
ヽ(^o^)丿
時代も国境も超える北斎は本当にかっこいいです!!
大胆な構図や破天荒な人生に騙されますが、
しっかり理系なんですね。
鋭い観察眼で自然のパターンをつかみ、
さらに独自の表現へ昇華させているところに
すごみを感じます。
以上「神奈川沖浪裏」でした。
次回「富嶽三十六景 武州玉川」(ぶしゅうたまがわ)の解説です。
お楽しみに!
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すごい!すごすぎる!しっかり理論に当てはまる絵を描いているところがすごい!松本さんの解説も熱くてすごかった!分かりやすくて面白くて、夢中で読みました!素晴らしい記事をありがとうございます!!
43ありがとうございます!!!!!
49そう言っていただけて嬉しいです!!
解釈の仕方が色々あって、自分がしっくりいく説明は何なのか考えこんだ1ヶ月でした。版画の用紙自体は黄金比ではないのですが、枠の中に大きく黄金比が使われています。たくさんの方に北斎の魅力が伝わりますようにー!!
おち様よりコメントいただきました!
34浮世絵初心者でも知っている、名画ですね。改めて、まじまじと見ると迫力さの中にも、繊細な表現がこんなにも多く入れらている事に驚きます。6歳のお嬢さんが「生きてるみたい」と言った事、絵から感じ取れるリズムの解説など、この絵だから出せる躍動感ですね。絵の世界にも黄金比があるとは、知りませんでした。そして、この1枚の絵の中だけでも、黄金比がこんなに使われているとは、驚きました。巧妙に計算されてること、そしてそこも理由となって引き込まれる魅力を出しているとは、奥深さが海のようですね。
海外の名画を生んだ画家たちに影響を与えたとは、名誉ですね。同じ日本人として誇り高いです。時代も国境も超える、そんな北斎の偉大さが分かるエピソードに感動しました。
おち様、コメントありがとうございます!
29(^^♪
名画で黄金比を使っているものの代表に「モナ・リザ」があります。顔の肌が見えている横を「1」、顎から生え際までの縦が「1.618」となっています。現代ではApple社のリンゴのマークが黄金比の図形を重ねて作成されています。このような計算だけでなく情熱が込められていて、おち様がおっしゃった「奥深さが海」のような1枚ですよね!(^^)v
子供にちらちらと北斎のよさを伝えているのですが、特にこの「神奈川沖浪裏」は迫力が伝わっていて嬉しいです。何百年後の子供もファンにしてしまう北斎はすごいなぁと思います。私一人で北斎の展覧会に行こうとしたら、「行きたい!!」と言われるほどです。
私も同じ日本人として北斎がいてくれて誇りに思います!
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