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闘病マダム Ⅴ

闘病マダム Ⅴ



           大部屋の患者


隣のご婦人の病名は自分と同じ脳関係だったと思う。
彼女の話
「急に体の片方の血液が逆流するように感じてしまって」
それから病院で診断を受け入院に至ったらしい。
彼女はベッドに備え付けの横長のテーブルでいつも食事をしていた。
はしを使わず、フォークやスプーンを使って。
それは私も同じだ。
食堂に集まって食べる選択肢もあったが、自分らは避けた。

向かいのご婦人はワッカのような形の布の帽子をいつも被っていた。
抗がん剤の副作用で髪が抜け落ちるらしい。
「もっと早く来れば」彼女の悲痛な呟きが忘れられない。

そして窓側のベッドの壮年の男性。
彼は寝たきりだった。
起き上がった姿を一度も見たことはない。
重度の脳疾患だろうか?看護士さんの完全看護で暮らしていた。



            ナースの品格


看護士さんや介護士さんは交代で一日に何回か寝たきりの男性のお世話に来ていた。
洗面や着替え、そして食事の世話をしに。
そして人間誰しも避けられない下の世話をしに。
何度か嫌な場面を見た。
ある茶髪短髪女性の看護士だがベッドは当然カーテンで間仕切りして中は見えなくして世話に来る。
しかし病室の外んまで聞こえそうな大声を張り上げるのだ。

「臭い臭い、何の臭い動物園?」
どうせ世話するなら静かにやればいいものを!
わざとなのか?
看護士さんは何人もいるが茶髪は最低だった。
自分も何かを頼むさいナースコールをするが茶髪にあたらない事を願っていた。
私自身も何度か不愉快な思いをしたからだ。
件の男性は茶髪の大声を聞いてさぞ情けなかっただろう。
そうかと思えば慈愛にみちたナースもいた。
しっかり職務を淡々とこなすナースもいた。

注意散漫な自分は逆立ちしてもナースのお仕事は務まらない。
せいぜいコスプレして遊ぶのが関の山だ。
重々自覚している。


次はリハビリ部屋と酸素室の話をします。


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関西出身
東京女子大文理学部卒
ハウスマヌカン、派遣業、塾、コンパニオンなど様々な職歴
最近はバーのママをしていたが脳梗塞で倒れて閉業
現在リハビリ中
痴と知の融合、境界型の人間

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