妻の様子がおかしい

妻の、電話の声がおかしい。
まるで･･････死者と話しているような･･････

●タイトル表示

●BGM　ミステリアスなもの

妻：「･･････元気？」（力なく、陰鬱な感じで）

夫：「あぁ･･････まぁ、出張先で飯は外食ばっかりだし、アパートは狭くて一人だし。楽しい事は何もないけどな！ははは」

妻：「･･････そう･･････」（沈んだ様子で）

夫：「お、おい･･････どうしたんだ？何かあったのか？」

妻：「･･････何か、ですって･･････？」

夫：「なんだよ、言えよ。なんか･･････声、怖いんだけど」

妻：「･･････怖い？あはっ！あはは･･････はは･･････」（泣き笑いのように）

夫：「なぁ･･････本当にどうしたんだよ？何かそっちで大変ならさ、子供連れてこっちに来たっていいんだぞ？ちょっとお金かかるけど、出張が終わるまでの間くらいは何とかーー」

妻：「ダメよ！！」

夫：「･･････え？な、なんでだよ･･････？」

妻：「だって･･････だって･･････あなたは･･････死んでるんだから」

●SE　何か衝撃を伝えるもの
●ＢＧＭ　センチメンタルなもの

夫：ーーその言葉でーー不意に俺は思い出した。

夫：そうだ･･････俺は出張先で･･････車にひかれて･･････

夫：「え･･････でも、これは一体･･････」

妻：「あの世と通話できるアプリというものが最近リリースされたの。私も半信半疑だったんだけど･･････」

夫：「そうだったのか･･････」

妻：「どうしても･･････もう一度･･････あなたの声が聞きたくて･･････」

夫：俺は周りの景色が徐々に薄れていくことに気づいた。白い光に包まれるように。

夫：「ごめん。どうやら･･････もう時間みたいだ」

妻：「･･････！！愛してる！！私あなたの事愛してる！！こ、子供達だって！あなたの事！！愛してるから！！」（必死な様子で）

夫：俺は何て言おう。何をどう伝えたら･･････伝えきれるんだろう。
　　何をどう言ったって･･････きっと伝えきれない。でも･･････。

夫：「･･････ありがとう」

妻：「･･････ううっ！！･･････」（むせび泣く）

夫：「俺は、幸せだったよ。･･････だから………………ありがとう」

夫：その言葉に全てを込めて。

夫：俺はゆっくりと･･････世界に散っていった。



end


【CAST】
夫：未定
妻：未定

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これは･･････個人的にはキツい話ですねー･･････。
でも、考えてはしまうんですよ。

もし、自分が「何か一言しか伝えられない」状況になったとしたら。
最後に自分は何を伝えるだろうか、と。

想いを全てありのままに伝えられる言葉なんて、あるのでしょうか。
そして、何を伝えたら相手のためになるんでしょうか。

あなたは、愛する人に大事な事を伝えていますか？

これからも、時々これは考えてしまうテーマなんだろうなぁ……。